CAT6ケーブルの自作方法:パンドウィットRJ45コネクタ(SP688-C)を使用

この度自宅内のネットワークを改変することになったので、久しぶりにCAT6ケーブルを自作することにしました。せっかくなので自作の方法を記録として残しておこうと思います。コネクタはパンドウイット製を使用します。まだ道具を購入していない人であれば、すべてこのパンドウイット製でそろえておくことをおすすめします。

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前置き

分がパンドウィットのコネクタを選ぶ理由はネットで「信頼性が高い」という話をみかけたからだったのですが(ずいぶん前なのでどこか忘れました)、CAT6ケーブルを実際にコネクタ100個入りの箱を3〜4箱分くらい作ってみて、エラーや作り間違いが記憶している限りゼロだったので、噂通りおすすめできるものだと感じました。

(ただし、厳密にはブーツとカラー(後述)をセットし忘れて圧着してしまい、コネクタを無駄にしたことは何度かありました。焦ると忘れがちなので要注意です)

用意するもの

↓パンドウィットのCAT6コネクタです。100個も入っていますが一箱買っておくと安心です。

↓100個もいらないという場合は・・10個ばら売りもありました。ユーボンと書いてありますが、同じパンドウィット製です。

↓LANケーブル
自分が企業内営繕だったときは、この富士電線のハイパーコイルをよく使っていました。ネットワークにいくつか系統があり、それごとに異なる色を使うためです。

↓先日自宅内にLANケーブルを這わせたときは、このELECOMのものを使いました。安いです。

↓自宅の屋外に設置されているONUからルーターまでの間はこちらの富士電線の屋外用LANケーブルを使用しました。高いです。太いです。太すぎて通線できなかったので、屋内部分は外部用の被覆を剥がして使用しました・・(もったない)

以下は道具です。

【必須】モジュラープラグ圧着工具 これがなければはじまりません。CAT5eとCAT6のコネクタ両方を作れるので大変重宝します。

【必須】ケーブルテスター これもピンキリですが、安心のフルークネットワークス製がおすすめ。フルークネットワークスの中ではかなり安い部類です。このテスターでは1本のテストを行うことが可能です。本体から終端部分が分離するのでリモートテストができます。すなわちケーブルの両端が離れた位置にあってもテストできます(⇒通線してコネクタを取り付けてからテストすることができる)

ケーブル皮むき器 自分は同じ会社の「クルリッパー」を使っていましたが、この「ジャケッパ」が後継商品のようです。ケーブルにこの「ジャケッパ」を挟んで、くるりと回すと外皮だけに切り込みが入ります。(もちろんカッターナイフでもOKですけどスピード重視の場合はあった方がよいです)

スパイキ 芯線の縒りをほぐすのに使います。これもスピード重視の場合はあったほうがよいです。

↓【準必須】パンドウィットCAT6コネクタ用の成端補助工具です。なくても作れますがあると楽、確実に作ることができます。

そのほか必要なものは・・

  • ニッパー・・・飛散防止タイプが少し便利
  • グリップタイプのグローブ(薄手)・・・芯線をまっすぐにする際あった方が手が痛くならない
  • コネクタのパーツを分けてしまえるケース・・・100均で売っているもので十分

くらいです。

作り方

パンドウイットのCAT6のコネクタ、SP688は以下の5つの部品で構成されています。取扱説明書からの引用です。これ以降説明書の部品名称を使います。

また、LANケーブルには芯線の色配置で2種類の規格があります。T568AとT568Bですが、T568Bのほうが作りやすいので、こちらで作ることをおすすめします。なお、一度T568Bで作ると決めたら、全部T568Bで統一した方が問題が発生しにくいです。

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T568A 緑白 橙白 青白 茶白
T568B 橙白 緑白 青白 茶白

 

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まず最初に、ブーツとカラーをLANケーブルに通しておきます。経験上これをやり忘れることが多いので、癖付けしておくとよいです。特に複数のケーブルの成端作業を行う場合は、はじめにまとめて全部のケーブルにブーツとカラーを通すようにしておきます。

(以下写真はいろんな場所での作業の寄せ集めです)

↑ブーツが先、その次にカラーを通します。
↑※もしブーツとカラーを通し忘れても、この段階であればまだ間に合います(笑)

2「ジャケッパ」(写真は「クルリッパー」)を用いて、LANケーブルの外皮に切れ込みを入れます。クリップ状になっているので、ケーブルを挟んだら、人差し指でくるくると回します。1〜2回で十分です。芯線を傷つけていないか確認しながら作業します。

↓LANケーブルを挟み・・
↑クルリッパーを人差し指に載せて・・
↑くるくる回す(1〜2回程度)
↑きれいに切れました

3外皮を除去したら、4つのペアの芯線を広げて、セパレータの役目をしている「十字介在」をニッパーでカットします。その上で、スパイキを用いて、芯線の縒りをほどきます。

↑外皮を除去します
↑4つの芯線を広げて十字介在を出します
↑十字介在をニッパーでカットして・・
↑縒り線である芯線の根元の方にスパイキを差し込んで、引っ張りながらスライドさせると、縒りがほどけます。
↑強めに引っ張る
↑先端の方はスパイキでまっすぐにするのは難しいので、手で微調整します。

4十字介在に「ディバイダー」をセットします。ディバイダーにはV字溝が付いていますが、それが緑と緑白の芯線のペア部分に向くようにセットします。なお、LANケーブルの4色の芯線の配置は、一部がメーカーによって異なっているので注意します。2通りあります。

↑富士電線のLANケーブル 芯線の配置は、時計回りに茶⇒青⇒橙⇒緑です。この場合、茶色を左・緑を下にして、ディバイダーのV字溝が下に向くようにして、十字介在にディバイダーを差し込みます。
↑ELECOMのLANケーブルの芯線配置は・・時計回りに茶⇒緑⇒橙⇒青です。この場合、V字溝を上にしてディバイダーを差し込みます。
↑このディバイダーのセットがミスをしないために最も大切な作業です。こういうメモ書きを用意しておくと便利です。
↑パーツを入れておくケースに貼っておきました

↓メモ書きをもう少し詳しく作り直したので、よければ印刷してお使いください。

5ディバイダーに芯線をセットしたら、まっすぐに整え斜めにカットします。その斜めにカットした芯線をすべてロードバーに通します。ロードバーはギザギザの面と平らな面があるので、平らな面を手前側にしたとき、茶色の芯線が左端に来るようにして通します。

↑まっすぐに整える
↑斜めにカット。斜めにカットした方がロードバーに通しやすいです。
↑ロードバーを通します
↑ロードバーの穴は直線に配置されていないので少し通しにくいです。
↑ロードバーからはみ出た部分を、ロードバーに沿ってカットします。多少ロードバーからはみ出てもかまいません。

6プラグハウジングをセットします。軽く差し込んだ後で、成端補助工具をつかって、てこの原理でカラーをプラグハウジング内に押し込みます。

↑ロードバーを通したら、プラグハウジングに軽く差し込みます。
↑必須ではないですが、あった方がよい「成端補助工具」・・カラーを軽く押し込むことが可能です。
↑成端補助工具をハの字型に開いた状態で、プラグハウジングをセットします。
↑成端補助工具をまっすぐにすると、カラーがプラグハウジング内に押し込まれます。
↑簡単に押し込まれました

7あとは圧着工具で圧着し、ブーツをセットすれば完成です。完成したら、ケーブルテスターでテストして問題なければ作業終了です。

↑向きに注意してプラグハウジングを圧着工具に差し込みます
↑セットしたら圧着工具をカチッと言うまでしっかり握ります。
↑やっと完成!!
↑今回は片方の端が屋外にあったので、はしごに登ってリモート検査用の終端装置をセット。
↑もう片方には本体を・・テストボタンを押して、緑色のランプが4つ点灯すればOKです。テスターではショート、断線、配線ミス、リバース(クロス)、スプリットペアのミスを検出できます。

作業は以上で完了です。慣れれば楽しくなってきます(あまりに多いと地獄ですけど(笑))。道具をいろいろ揃えたりしてお金はかかりますが、建物内に長い距離でLANケーブルを這わせる時はやらなければならない作業です。そういう機会が多い人は作業の仕方を身につけておくとよいと思います。